黄と金の距離
Distance between yellow and gold
2018
リハーサル・レコーディング、13 Mar 2019 近江楽堂、「大石将紀 サクソフォン×邦楽×現代音楽プロジェクト 第1回 サクソフォン×三味線」
演奏 : 大石 将紀、本條 秀慈郎 ©大石 将紀
演奏 : 大石 将紀、本條 秀慈郎 ©大石 将紀
編成 | アルト・サクソフォン、三味線 |
演奏時間 | 12' |
初演情報 |
13 (Wed) Mar 2019 近江楽堂 (東京)、「大石 将紀 サクソフォン×邦楽×現代音楽プロジェクト 第1回 サクソフォン×三味線」 演奏 : 大石 将紀、本條 秀慈郎 |
委嘱者 | 大石将紀 |
献呈 | 大石 将紀、本條 秀慈郎 |
著作権 | SACEM管理楽曲, Code ISWC : T-704.175.003-4 |
曲目解説
言うまでもなく、三味線とサクソフォンは性質を著しく異にしている二つの楽器である。歴史的文脈、地理的背景、美学的指向性、奏法、発音原理、音響特性、楽器の素材など、二つの楽器の間には様々なコントラストが存在する。
このような性質の異なる楽器のデュオ「ならでは」の対話の面白さがあるとすれば、それはどういったものなのだろうか。また、一方の楽器の世界観にもう一方を従属させることなく、対等な関係を築くことは可能なのだろうか。上記の興味から今回の作品 «黄と金の距離» の作曲に取り掛かった。
制作にあたって、まずは三味線の音を聴き込むことにした。その過程で「なぜ、三味線の音は一打でこんなにも人を魅了する力を持っているのだろうか」という疑問に自分の関心が凝縮されていった。三味線の撥による奏法は打撃音と弦の振動音による複雑な音響を発生させる。さらに、そこにサワリによるビリビリとした振動音が加わる。本作品では、このような三味線の味わい深い音の複合性を足がかりとして、二つの楽器によるアンサンブルの可能性を探った。
«黄と金の距離» は三つの楽章から構成され、いずれもABA’というアーチのような形式を持っている。楽章ごとにさまざまな音響的探求を行ったのだが、たとえば、一楽章では三味線の弦の摩擦音に注目した。ここでは三味線で持続音を、サクソフォンで打撃音を演奏するという本来の関係を逆転させた楽器法が取り入れられている。また、二楽章ではサワリを起点とした音の揺れや唸りを素材とした。さらに、三楽章では津軽三味線由来のアイデアを基礎として、ノイズやグリッサンドで遊んでみた。
最終的に、三味線とサクソフォンのデュオは、強固な構築性や持続ではなく、素材の断片性や壊れやすさ、ミステリアスな余白などを味わう方向へと、私を導いた。
このような性質の異なる楽器のデュオ「ならでは」の対話の面白さがあるとすれば、それはどういったものなのだろうか。また、一方の楽器の世界観にもう一方を従属させることなく、対等な関係を築くことは可能なのだろうか。上記の興味から今回の作品 «黄と金の距離» の作曲に取り掛かった。
制作にあたって、まずは三味線の音を聴き込むことにした。その過程で「なぜ、三味線の音は一打でこんなにも人を魅了する力を持っているのだろうか」という疑問に自分の関心が凝縮されていった。三味線の撥による奏法は打撃音と弦の振動音による複雑な音響を発生させる。さらに、そこにサワリによるビリビリとした振動音が加わる。本作品では、このような三味線の味わい深い音の複合性を足がかりとして、二つの楽器によるアンサンブルの可能性を探った。
«黄と金の距離» は三つの楽章から構成され、いずれもABA’というアーチのような形式を持っている。楽章ごとにさまざまな音響的探求を行ったのだが、たとえば、一楽章では三味線の弦の摩擦音に注目した。ここでは三味線で持続音を、サクソフォンで打撃音を演奏するという本来の関係を逆転させた楽器法が取り入れられている。また、二楽章ではサワリを起点とした音の揺れや唸りを素材とした。さらに、三楽章では津軽三味線由来のアイデアを基礎として、ノイズやグリッサンドで遊んでみた。
最終的に、三味線とサクソフォンのデュオは、強固な構築性や持続ではなく、素材の断片性や壊れやすさ、ミステリアスな余白などを味わう方向へと、私を導いた。