手懐けられない光
Lumière indomptable
2020
ライヴ・レコーディング、29 (Sat) Aug 2020 | サントリーホール、大ホール
公演 : 第30回 芥川也寸志サントリー作曲賞選考演奏会
演奏 : 沼尻 竜典、新日本フィルハーモニー交響楽団 ©︎(公財)サントリー芸術財団サントリーホール
公演 : 第30回 芥川也寸志サントリー作曲賞選考演奏会
演奏 : 沼尻 竜典、新日本フィルハーモニー交響楽団 ©︎(公財)サントリー芸術財団サントリーホール
編成 | オーケストラのための |
楽器詳細 |
2. 2. 2. 2. /4. 2. 2. / perc I. II. III. timp. / 1 hp. 1 cel. 1 pf. / strings (14. 12. 10. 8. 6) 【打楽器の詳細】 [ 打楽器 I ] 1 Boomwhacker, 2 Cymbals (medium, sizzle), 3 Maracas (small, medium, large), 1 Marimba, 1 Tubular bells [ 打楽器 II ] 1 Bongo, 2 Congas (high, low), 1 Glockenspiel, 1 Spring drum, 1 Rototom, 1 Thunder sheet, 1 Vibraphone [ 打楽器 III ] 3 Antique cymbals, 2 Boomwhackers, 1 Buzzing bow, 3 Caxixis (small, medium, large), 3 Cymbals (small, medium, large), 1 Flexatone, 1 Guiro (large), 1 Ratchet, 1 Small gong, 1 Tam-tam (large), 4 Woodblocks (low, medium-low, medium-high, high) [ ティンパニ ] 1 Triangle, 1 Bongo (on the timpani with the stand), 2 Cymbals (medium, large) [その他] 4 Waldteufels |
演奏時間 | 14' |
初演情報 |
29 (Sat) Aug 2020 | サントリーホール、大ホール 公演 : 第30回 芥川也寸志サントリー作曲賞選考演奏会 演奏 : 沼尻 竜典(指揮)、新日本フィルハーモニー交響楽団 |
委嘱者 | サントリー芸術財団 |
献呈 | 京都・西陣ワークプレイス「 385 PLACE 」 |
著作権 | SACEM管理楽曲、Code ISWC : T-303.058.453-9 |
曲目解説
ここ数年に手がけた室内楽や和楽器を用いた制作を通じて、魅力を感じる多くの音響と出会うことが出来た。それらの経験をオーケストラへと応用させる試みが、《手懐けられない光》の制作において重要な位置を占めている。触れると壊れてしまうような脆弱な奏法や、ざらつきを持った退廃的なテクスチャー、流体のように形を留めない素材など、本作品は掴むことを拒むような音響で構成されている。それらの要素のなかを様々な光の効果が通り過ぎることから、このようなタイトルを付けることにした。
《手懐けられない光》は三つの楽章から成り立っている。
一楽章ではミュートを使用した金管楽器や、弦楽器によるsul ponticello (駒の近くのポジションを演奏する指示)を用いた点描が主体となっている。それらの鼻にかかった音色に加えて、弦楽器における高音域のピチカートや掠れた弓奏、木の棒による演奏などが、この楽章全体のフラジャイルな印象を強めている。それと同時に、様々な手段によるグリッサンドの追求も行ったが、ティンパニと打楽器の組み合わせが非常に魅力的で、これを用いることにした。
二楽章はゆったりとした音響の継起によって構成されている。ロングトーンに寄生した微妙な音高のずれによって生じる「うなり」を起点として、徐々に低周波の存在が誇張されてゆく。粗野な摩擦音を交えつつ、音楽は混沌とした表情へと姿を変える。
三楽章はトリルのヴァリエーションを基調とした、無窮動風のテクスチャーの上に成り立つ。弦楽器のハーモニクスによるトリルを多用することによって、楽章全体に輝きを与えようと考えた。それと並行して、管楽器群によるソロの断片が様々なタイプの音型を紡いでゆき、次第に合奏による嵐のようなうねりへと発展する。
《手懐けられない光》は三つの楽章から成り立っている。
一楽章ではミュートを使用した金管楽器や、弦楽器によるsul ponticello (駒の近くのポジションを演奏する指示)を用いた点描が主体となっている。それらの鼻にかかった音色に加えて、弦楽器における高音域のピチカートや掠れた弓奏、木の棒による演奏などが、この楽章全体のフラジャイルな印象を強めている。それと同時に、様々な手段によるグリッサンドの追求も行ったが、ティンパニと打楽器の組み合わせが非常に魅力的で、これを用いることにした。
二楽章はゆったりとした音響の継起によって構成されている。ロングトーンに寄生した微妙な音高のずれによって生じる「うなり」を起点として、徐々に低周波の存在が誇張されてゆく。粗野な摩擦音を交えつつ、音楽は混沌とした表情へと姿を変える。
三楽章はトリルのヴァリエーションを基調とした、無窮動風のテクスチャーの上に成り立つ。弦楽器のハーモニクスによるトリルを多用することによって、楽章全体に輝きを与えようと考えた。それと並行して、管楽器群によるソロの断片が様々なタイプの音型を紡いでゆき、次第に合奏による嵐のようなうねりへと発展する。